四月の魔女の部屋

四月の魔女の部屋

歌名 四月の魔女の部屋
歌手 坂本真綾
专辑 『坂本真綾の満月朗読館』第五夜·四月の魔女の部屋
原歌词
[00:11.38] わたしはエイプリル。あなたはフール。
[00:15.66] 魔女エイプリルは死にました。
[00:21.28] 人々は口々に彼女を嘘つきと罵り拷問して火あぶりにしました。
[00:28.66] エイプリルは嘘なんかついたことはなかったのに。
[00:32.44] 「ああ、死ぬのはいやだ。わたしは魔女です」
[00:39.54] たった一つの嘘をついたがために彼女は神様から罰を受けました。
[00:47.57] おまえの願いがすみやかに叶うように。
[00:52.02] たくさんの人が死に世界は焼け野原になりました。
[00:59.81] エイプリルは部屋にとじこもり誰にも会わなくなりました。
[01:06.02] でもそれではあんまり寂しかったので一年に一度だけ扉の鍵を外しました。
[01:14.04] 四月一日にだけ開く魔女の部屋です。
[01:20.69] この部屋では嘘はつけません。
[01:24.30] すべての嘘はエイプリルが叶えてしまうからです。
[01:32.58] 老いた盲人が迷い込んできました。
[01:36.55] 盲人はエイプリルが何者かも知らぬまま、嘆き嘆き言いました。
[01:42.70] この目が見えたならどんなにか素晴らしいことだろうと――
[01:48.26] 盲人は素晴らしい二つの眼を授かりました。
[01:54.71] 盲人は驚いて、エイプリルの緑の黒髪や、大理石のように白い指先を見つめました。
[02:02.76] 「あなたは美しいのか」
[02:08.25] エイプリルは首を振ります。わたしは醜い魔女です。
[02:15.23] 首をかしげながら盲人はエイプリルの指に、顔に、触れました。
[02:23.57] 「いいや、違う。あなたはとても美しい人だ」
[02:29.98] 盲人はなんでも見ることができました。けれど自分の指で触れてみるまでそれが何かはわかりません。
[02:41.02] 「あれは何です」
[02:44.64] 天窓に輝くものを指差して盲人は尋ねました。
[02:49.88] あれは月です。
[02:54.43] 盲人は恐ろしいものでも見たようにひどく身震いすると部屋を出ていきました。
[03:02.76] やがて彼はずっと目をとじたまま過ごすようになりました。
[03:11.69] 異端審問官(ウィッチハンター)がやってきました。
[03:15.44] 「つきとめたぞ、疫病と大災の魔女め」
[03:19.60] 審問官はエイプリルを汚く罵り、犯して殺しました。
[03:25.70] その細い首を切り落とし、胸をえぐり、心臓をうばいました。
[03:32.23] 審問官は血のしたたる心臓を箱に詰めて得意げに持ち帰りました。
[03:39.13] 聖油で燃やし尽くされ白い灰となっても、まだエイプリルは魔女でした。
[03:49.39] 物好きな求婚者がやってきました。
[03:52.75] 「あなたに結婚を申し込みます。魔女エイプリル」
[03:56.81] エイプリルは彼と契りを交わし、ただの一日で子供を産みました。
[04:05.18] すくすくと成長した子供はとても賢く、すぐに言葉を覚え、部屋の外に出たいと願いました。
[04:14.43] エイプリルはその通りにしてあげました。
[04:19.32] 残された求婚者はエイプリルに詫びました。
[04:24.90] 「すまない魔女エイプリル。あの子がひどく気がかりだ。
[04:29.33] 魔女の子と咎(とが)められ、どんな迫害を受けているかわからない。私が守ってやらねば」
[04:37.49] エイプリルは寂しそうに肯きました。
[04:43.85] 求婚者は子供を追いかけて外へ出て行き、二度と帰ってはきませんでした。
[04:52.97] 聖者と呼ばれる旅の男がやってきました。
[04:59.05] 他言するなとエイプリルに誓わせて男は詰め寄りました。
[05:04.18] 「本当は奇跡の力など持ちあわせてはいないのに、皆(みな)がわしを待ち望む。
[05:10.31] 魔女のお前にはなぜ力があるのだ。その悪魔の力をわしによこせ」
[05:18.20] 旅の男は真っ白な髭をふるわせて泣き崩れます。
[05:25.46] 「わしはただ子供たちに笑ってほしかっただけなのに」
[05:31.27] エイプリルは男に言いました。
[05:36.46] 聖者さま。呪われたわたしの力が贈り物になるのなら、どうぞ差し上げます。
[05:43.20] しかし男はエイプリルの差し伸べた手を見つめてうなだれました。
[05:51.89] 「いいや。やはりそんな恐ろしいものはいらない。ここにいるのは少しばかり手先の器用な老いぼれだ。今ではその指も満足に動かせず、人形ひとつ作れない。施すべき金貨も尽きてしまった。頼むから聖者などと呼ばないでくれ」
[06:16.26] ならばあなたは人間として死ぬでしょう。
[06:22.32] それでもあなたを思い出すたびに子供らは微笑みます。
[06:28.37] 「ほっほ、魔女の言うことなど信じるものか」
[06:32.91] 男は笑い飛ばしました。
[06:38.99] 長旅の果てに男は寂しく(さみしく)死にましたが、後に聖人と呼ばれたとか。
[06:48.34] 死を目前にした病人が追われてきました。
[06:53.40] 愛する者に憎まれ、家を燃やされ、どこにも行き場所がなくなって。
[06:59.97] 彼女は部屋のすみにぼろ切れのようにうずくまりました。
[07:06.11] 「触れないで。見ないで。私を放っておいて。この病に罹りたくなかったら」
[07:14.06] わたしは魔女です。どんな病魔もわたしに赦しを与えてはくれません。
[07:22.88] そう言ってエイプリルは彼女をベッドに寝かせ、手厚く看病しました。
[07:30.82] それでも冷たくなっていく彼女の手をとってエイプリルは尋ねます。
[07:37.87] わたしは魔女です。あなたが望めば、誰よりも永く生きる体を差し上げます。
[07:44.78] けれども、長く長く苦しんだ彼女は疲れきっていて、もう治りたくなどはなかったのです。
[07:56.99] 「ありがとう。どうか死なせてください」
[08:00.76] 彼女は死にました。エイプリルは泣きました。
[08:10.21] 商人が訪問しました。自称世界一の商人です。
[08:17.91] 「なにか望みはありますか、ですって? それはこっちのせりふですよ」
[08:24.79] 商人は持ち込んだ品々の売り口上をまくしたてました。
[08:30.25] おだやかに微笑みながら聞いていたエイプリルは、すべて終わってから言いました。
[08:37.38] なにもありません。なにもいりません。
[08:42.23] 「いやいやご冗談を。あなたの欲しいもの、したい事、なんでもおっしゃってください。どんな物でも取り寄せてお届けしますよ」
[08:53.12] わたしはこの部屋で日々を静かに過ごし、中庭の花たちの面倒をみて、そしてこうしてあなたとお話ししている、それで十分なのです。
[09:07.33] 「そんなはずはない!」
[09:11.34] 馬鹿にされたかのように商人は憤慨しました。
[09:16.15] 「あなたにだって不安はあるはずだ。思わぬ怪我をしたらどうします?薬が入り用でしょう。押し込み強盗を追い払うには、このマスケット銃が効果てきめんですよ。あなたはたいそうお美しいが寄る年波には勝てません。この秘伝の軟膏で若さを保つとよろしい」
[09:38.08] なにもありません。なにもいりません。
[09:45.11] 「あたしゃ世界一の商人です。何一つお売りせずに引き下がるわけにはいかんのです。あたしにだってプライドがある」
[09:54.83] わかりました。それがあなたの望みなら。
[10:00.91] お持ちになられた品すべてをいただきましょう。これがその対価です。
[10:07.19] にわかに商人の心に沸き起こったのは、彼が経験したことのない、思い描いたことすらない、この世の災厄と惨たらしい行い、そして身にふりかかる一切の不幸でした。
[10:24.87] 一瞬にして髪が白く染まった商人は、あたかも生きた亡霊のようになってふらふらと部屋をさまよい出ていきました。
[10:37.41] 村娘ジュニパとハネジュがやってきました。
[10:44.28] 「ほらね。魔女はいたでしょう?」
[10:45.81] 「べつに疑ってやしないだろ。そりゃあ何処かに魔女はいるだろうさ。幽霊話を真に受けるのはどうかと言ったんだ」
[10:55.23] ハネジュはエイプリルに謝りました。
[11:00.39] 「どうか怒らないでください、女御主人(ミストレス)。すぐにお暇(いとま)いたします」
[11:05.48] 「ねぇ見て、なんて素敵なティーセット」
[11:11.40] ハネジュは連れがいい加減な散らかし放題で困ると嘆き、ジュニパは喉が渇いたと我が儘を言いました。
[11:20.77] ジュニパは紅茶を何杯も飲んでは部屋を散らかし、ハネジュはそれを渋々片付けます。
[11:28.82] エイプリルは何もしませんでした。
[11:36.20] ヤブ医者が訪ねてきました。
[11:39.35] 言われるがままに診察され、髪と血と爪と肉と皮と、とにかくあらゆる彼女の一部が採取されて、最後にこう言い渡されました。
[11:53.18] 「あなたは病人である。すぐに入院されるがよかろう。今日にでも」
[11:58.86] カルテに何事か書き込みながらヤブ医者はまるで生ける標本だ、と叫びました。
[12:08.37] どこも患ってなどおりません。わたしは魔女なのです。
[12:13.98] 「ではそれがあなたの病名です。あなたは魔女病だ。仮に肉体は健康にみえても、心が病んでいる。こんなに薄暗い、空気のよどんだ部屋にとじこもって、自分を虐待されている。私は医者として、あなたを治療し救う義務がある」
[12:37.07] しまいにはヤブ医者はエイプリルに鎮静剤を打ち、部屋から引きずり出そうとしました。
[12:46.01] お医者さま、どうかこのまま立ち去って下さい。
[12:51.28] わたしは外へ出たくないのです。
[12:54.49] 人々を傷つけたくないのです。なによりわたし自身が傷つきたくないのです。
[13:01.71] もう世界と自分とを出会わせたくはないのです。
[13:07.20] エイプリルの懇願にもヤブ医者は耳を貸しませんでした。
[13:14.58] ヤブ医者は髪と血と爪と肉と皮と、とにかくあらゆる一部となって部屋の外へ帰っていきました。
[13:26.99] 見えない犬がやってきました。
[13:32.06] 床を爪でかく音や息をする気配はすれども、姿はありません。
[13:38.02] ホウキ草よりもばさばさの毛並み。目ヤニのいやな臭いもします。
[13:44.93] 見当をつけて抱きあげると、激しく噛みついてきたあげく逃げてしまいます。
[13:52.32] しかたなくエイプリルは犬を放っておくことにしました。
[13:58.07] ある嵐の夜、犬はおびえて扉の外に向かって吠え続けました。何者か判りませんが、誰かがいます。
[14:12.07] そもそも四月の一日以外には、誰も部屋に近づくことは出来ないはずです。少なくともそれが生者であれば。
[14:23.89] またある大雪の夜、暖炉脇に寝そべっていた犬が跳ね起きて、扉に向かって火のように吠えました。
[14:34.11] かすかな雪音だけを残して何者かは去っていきました。
[14:41.52] ――そしてちょうど一年が経った、ある明け方。
[14:48.38] こつ、こつ、と杖の先で玄関の石を叩く音がします。
[14:54.76] 犬はうっすらとその姿を現して、扉の前に静かに立ちました。
[15:02.62] エイプリルは犬に尋ねました。
[15:06.96] あなたの大切な人を許してもよいのですか?
[15:12.27] 犬は小さく鳴きながら扉に鼻先を押しつけます。
[15:20.43] 彼女は扉を薄くあけて、ちょっぴり残念そうに犬を見送りました。
[15:28.71] 魔女エイプリルが使い魔と暮らした、ただ一度の例外です。
[15:39.22] 売れない画家がやってきました。
[15:42.57] 画家は髪をかきむしり、ヒステリックに叫びました。
[15:47.46] 「誰も見たことのない絵を描きたい。人々が心を打たれ、畏怖し、生涯記憶に留めるような壮大な絵を」
[15:58.12] 誰も見たことのない絵。彼の志す絵はエイプリルにもわかりません。
[16:07.92] そこで尋ねます。その絵を彩るために、どんな絵筆が必要なのですか。
[16:16.47] 「希有なる絵筆が必要だ!鉄のごとく揺るぎなく、炎のように柔軟な。筆先には真実の絵の具がふくまれている」
[16:28.24] どれだけの画布(キャンバス)があれば、こと足りるのですか。
[16:35.17] 「広大な! むろん広いだけではない。それは信念と償いの糸で編まれている。稲妻のように筆先が閃くたび海の果てまでも拡がっていく!」
[16:49.64] そこまで熱弁して急に弱気になった画家は、狼狽してエイプリルの膝にすがりました。
[17:01.02] 「赦してくれ。私を罰してくれ。そんなものあるわけがない。誇大妄想の戯言だ。望むことすらあってはならない」
[17:13.06] エイプリルは彼を慰めながら言いました。
[17:20.35] たとえ叶わずとも、願ってはならない望みなどこの世にあるでしょうか。
[17:27.86] 画家は目を潤ませて肯き、彼女の掌にうやうやしく接吻を残して去りました。
[17:38.28] 生涯をかけて我が理想の絵を描きあげてみせる――そう呟きながら。
[17:48.70] 吸血鬼メイがやってきて赤い翼を休めました。
[17:54.91] 「御同類ね」とメイは言いました。彼女も死ねない運命の異端の娘でした。
[18:03.25] ふたりは中庭を彩る草花や、好きなお茶のこと、たわいないお喋りをして一日を過ごしました。
[18:14.27] 「あなたに呪いをかけた神様もいつかは滅びることでしょう」
[18:21.55] 最後にそう言い残してメイは飛び去っていきました。
[18:29.87] 読者がやってきました。
[18:33.13] ええ、あなたです。
[18:35.66] 四月の一日だけ、魔女エイプリルの部屋の鍵は解かれ、訪問者を迎え入れるのです。
[18:44.19] ただ彼女はちょうど長椅子にもたれ、うとうとと寝ついたところ。
[18:52.01] あなたがお急ぎでなければ彼女が目覚めるまで、しばらくお待ちになってはいかがでしょう。
[19:00.12] そのあいだ、ひとつゲームをいたしましょう。
[19:06.50] 彼女のまどろみからこぼれた夢が、かすかにあなたの頬に触れます。
[19:13.74] それはどんな印象でしたか。これと思ったものを次の言葉から選んでください。
[19:22.84] 【コルク 洗濯板 バルサミコ酢 麦刈り 女王 死神】
[19:34.06] ではその言葉に強く結びつくと感じる言葉をどうぞお選びください。
[19:42.22] 【石鹸 魚釣り 葡萄酒 鎌 メイポール 蜂】
[19:52.27] そのものの示す働きと本質を次のなかから見極めてください。
[20:00.49] 【走る 刺さる 告げる そよぐ 香る 謡う】
[20:09.83] では最後。その働きに正しく当てはまる言葉をお選びください。
[20:17.40] 【錬金術師 水車小屋 薔薇 カドリール 幌馬車 人形芝居】
[20:27.49] 選んでいただけたでしょうか。当ててみせましょう。
[20:33.92] 「人形芝居」ですね。
[20:39.30] ……失礼。どうやらがっかりさせてしまったようで。
[20:44.33] ああほら、エイプリルが目を覚ましました。
[20:48.19] 彼女はあなたの瞳を優しくどこか寂しげに見つめ、声をかけられるのを待っています。
[20:57.25] もしあなたの願いが確かな言葉になるものならば、それはもう殆ど叶っています。たとえ今は嘘だとしても。
[21:10.36] 本当の願いは叶えるよりも見つけるほうが難しいのです。
[21:19.83] エイプリルが微笑みます。
[21:23.41] いつのまにか彼女の掌には一輪の薔薇が握られておりました。
[21:31.24] それからずっとずっと長い間、誰も部屋にはやって来ませんでした。
[21:39.94] 幾年も 幾年も
[21:48.58] フールがやってきました。
[21:51.69] 「やあ、僕はフール。きみがエイプリルだね?」
[21:57.93] よろしければあなたの望みを――
[22:02.05] そう言いかけた彼女をフールはやんわりと差し止めました。
[22:07.96] 「きみは一言も喋らないでいい」
[22:12.84] そう言って、フールは一日ただ部屋をぶらぶらとした挙げ句、
[22:18.57] 「またここに来たい」
[22:21.83] そう告げて、世界へ帰っていきました。
[22:28.37] 翌年もフールはやってきました。
[22:32.31] その次の年も、そのまた次の年もやってきました。
[22:34.66] ある年フールは機械仕掛けの楽器を持ってきました。
[22:45.88] 楽器のしらべにのせて、フールとエイプリルは踊りました。
[22:51.24] フールのダンスは信じられないくらい下手でしたが、
[22:54.79] 一日が終わるまでエイプリルは何度もダンスの相手をせがみました。
[23:03.97] ある年はふたり連れだって中庭を散歩しました。
[23:09.80] 一巡りするのに一分もかからない、小さな庭園です。
[23:15.38] そこにある草花をフールはよく知っていました。
[23:20.86] 彼はとても植物を愛していて、
[23:23.64] エイプリルは彼がさまざまな草花について語るのを聞いているだけで嬉しい気持ちになりました。
[23:33.32] ある年エイプリルはフールに手料理をふるまいました。
[23:39.25] 魔法で創造したものではない、彼女自身が種から育てた食材の素朴な料理です。
[23:46.62] 食べ慣れない味に彼は神妙な顔をしていましたが、何度も木椀を差し出しておかわりしました。
[24:01.98] 年老いたフールがやってきました。
[24:07.06] 「これから言うことは嘘だけど」
[24:11.63] そう前置きをしてフールは語りだしました。
[24:16.93] 世界はとっくに滅んでいて、フールはこの星で最後の人間でした。
[24:24.60] もうどんなカレンダーも無意味だし、嘘をつく相手もじきにいなくなる。
[24:32.67] 僕の墓はこの近くに作るつもりだから、気が向いたら来ておくれ、そういってフールは去りました。
[24:45.18] 次の年、フールは来ませんでした。
[24:52.32] 翌朝――
[24:54.56] 部屋の外へと出たエイプリルは、人々が平和に暮らす光景を見て驚きました。
[25:02.74] 人々は皆不死となり、誰もが自分の願いを自由に叶える力を持っていました。
[25:12.38] 小さな墓地を訪ねたエイプリルは、そこでフールの墓を見つけます。
[25:19.75] 彼はこの星の最後の死者でした。
[25:25.32] 彼が好きだと言ってくれた花を捧げてエイプリルは墓碑の前に膝をつきました。
[25:34.39] 「ああ神様。わたしは魔女でした。でも今は違います」
[25:44.50] わたしはエイプリル。あなたはフール。
[25:52.12] 魔女エイプリルは死にました。
[25:56.20] Ende.
歌词翻译
[00:11.38] 我是April。你是Fool。
[00:15.66] 魔女April已经死了。
[00:21.28] 人们口口相传言她作说谎者,辱骂拷问处之极刑。
[00:28.66] 纵使April从未说过谎话。
[00:32.44] 「啊呀,我不想死。我是魔女」
[00:39.54] 仅因为说了这么一句谎话,她受到了神的惩罚。
[00:47.57] 你的愿望将立刻成真。
[00:52.02] 大量的人死去,世界成了燃烧殆尽的荒原。
[00:59.81] April则独自闭在屋里不与任何人会面。
[01:06.02] 但这未免太过寂寞所以每年仅有一次门锁将被打开。
[01:14.04] 这便是只在4月1日开放的魔女的小屋。
[01:20.69] 在这屋内无法说谎。
[01:24.30] 因为所有的谎话都会被April变为真实。
[01:32.58] 年老的盲人迷路闯了进来。
[01:36.55] 盲人连April是何人都不知道,就欷歔叹息云云。
[01:42.70] 假如这双眼能看得见的话会是多么美好的事情呢――
[01:48.26] 盲人被赋予了一双美好的眼睛。
[01:54.71] 盲人惊讶地注视着April透露碧色的黑发、如大理石般白晢的手指。
[02:02.76] 「妳美吗?」
[02:08.25] April摇了摇头。我是丑陋的魔女。
[02:15.23] 困惑的盲人歪着头触摸April的指尖,面颊。
[02:23.57] 「不,不对。妳是个美丽的人」
[02:29.98] 盲人应该已经能看得见了。不过在用自己的手指触摸看看之前并不知道那是什么。
[02:41.02] 「那是什么?」
[02:44.64] 盲人指着在天窗闪耀的东西问道。
[02:49.88] 那是月亮。
[02:54.43] 盲人仿佛看到可怕的东西一般僵硬地震着身子离开了房间。
[03:02.76] 最终他一直紧闭着双眼度过了余生。
[03:11.69] 异端审问官(Witch Hunter)到来。
[03:15.44] 「找到妳了,疫病和灾祸的臭魔女」
[03:19.60] 审问官粗野地咒骂、污辱并杀死了April。
[03:25.70] 将那小小的头颅斩下、挖开胸部、夺取了心脏。
[03:32.23] 审问官把淋淋血滴的心脏塞进盒子里得意洋洋地带回去了。
[03:39.13] 即使被圣油燃烧殆烬化作为白色的灰烬,April也依然是魔女。
[03:49.39] 好奇的求婚者到来。
[03:52.75] 「我要向妳求婚。魔女艾普莉露」
[03:56.81] 艾普莉露和他结下契约、在短短的一天里产下了孩子。
[04:05.18] 茁壮成长的孩子非常聪明,马上就学会说话,希望走到房间的外面。
[04:14.43] 艾普莉露让他得偿所愿。
[04:19.32] 被遗留下的求婚者向艾普莉露道歉。
[04:24.90] 「抱歉,魔女艾普莉露。我非常担心那孩子。
[04:29.33] 不知道会不会被责难为魔女之子、将会受到怎样的迫害。我不得不守护他」
[04:37.49] 艾普莉露很寂寞似的首肯。
[04:43.85] 求婚者紧接着孩子走到外面、再也没有归来了。
[04:52.97] 被称为圣者的旅人到来。
[04:59.05] 让艾普莉露保证不会对外传开之后,男人逼到近旁。
[05:04.18] 「明明老朽其实没有什么奇迹的力量,却大家都期待着老朽。
[05:10.31] 身为魔女的妳为何拥有力量?快将那股恶魔的力量交给我」
[05:18.20] 旅人颤着雪白的胡子放声大哭。
[05:25.46] 「明明老朽只是想让孩子们欢笑」
[05:31.27] 艾普莉露向男人说。
[05:36.46] 圣者大人。要我将这股受到诅咒的力量作为献礼的话,请随便的拿去。
[05:43.20] 不过男人却盯着艾普莉露伸出的手羞耻低头。
[05:51.89] 「不。果然还是不需要那么可怕的东西。身处于这里的是稍为手巧一点的老迈愚者。现在这些手指已无法满意地活动、作不出玩偶来。能够施舍的金币也穷尽了。拜托妳不要叫我圣者」
[06:16.26] 那样你将会作为一个人类死掉吧。
[06:22.32] 即使如此,孩子们在想起你的时候还是会微笑。
[06:28.37] 「呵呵,谁会相信魔女的说话啊」
[06:32.91] 男人笑着跑了出去。
[06:38.99] 在悠长旅途的尽头,男人孤单地死去,其后被称为了圣人。
[06:48.34] 命悬一线的病人被追赶了进来。
[06:53.40] 被深爱的人所憎恶、家园被烧毁、完全无处投奔。
[06:59.97] 她像破布一般蹲坐在房间的角落。
[07:06.11] 「别碰我。别看我。不要理会我。要是不想染上这个病的话」
[07:14.06] 我是魔女。不管什么病魔我都不会宽恕。
[07:22.88] 说完,艾普莉露让她躺到床上、细心地照料。
[07:30.82] 艾普莉露抓住仍然在不断变冷的她的手询问道。
[07:37.87] 我是魔女。只要你希望,我会给予你一副比谁都要活得更长久的身体。
[07:44.78] 可是,常年累月受痛苦煎熬的她已疲惫不堪,已经不想去治好了。
[07:56.99] 「谢谢妳。请妳让我死」
[08:00.76] 她死了。艾普莉露哭了。
[08:10.21] 商人造访。自称世界第一的商人。
[08:17.91] 「有什么愿望? 那是我的台词啊」
[08:24.79] 商人喋喋不休地说着他准备好的林林总总的推销内容。
[08:30.25] 一边温和地微笑一边聆听的艾普莉露,等全部内容结束后说道。
[08:37.38] 什么都没有。什么也不要。
[08:42.23] 「不不,别开玩笑。妳想要的东西、想做的事,什么都请说出来吧。无论是怎样的东西都会送到啊」
[08:53.12] 我只要在这房间里静静的过日子、照料院子的花儿们,然后这样子的与你谈话,就足够了。
[09:07.33] 「这没可能吧!」
[09:11.34] 商人就像被人当成了笨蛋一般扼腕愤慨。
[09:16.15] 「就算是妳也应该有不安的。意外受伤了的话怎么办? 药品是必要的开支吧。赶走强盗用这枝鸟铳立刻见效。妳虽然非常漂亮但也敌不过年纪的增长。用这瓶秘传软膏保持年轻就没问题了」
[09:38.08] 什么都没有。什么也不要。
[09:45.11] 「我是世界第一的商人。可不能一件商品也未卖出就撒手不干。我也是有尊严的」
[09:54.83] 我明白了。如果那就是你的愿望的话。
[10:00.91] 就把你身上带着的所有商品都收下吧。而这就是报酬。
[10:07.19] 俄然间占据商人心灵的,是他所未曾经验过、甚至不曾幻想过、这个世界所有的灾难和惨绝人寰的行径,还有降临在身上的一切不幸。
[10:24.87] 头发一瞬间染满白色的商人,变得宛如活着的亡灵一般,步履蹒跚地走出了房间。
[10:37.41] 村姑Juniper
[ジュニパ]和Honeydew
[ハネジュ]到来。
[10:44.28] 「你看。魔女是有的吧?」
[10:45.81] 「我又没怀疑不是么。这魔女什么的总是会存在在哪儿的。我是说你把鬼故事当真有点儿犯傻了」
[10:55.23] Honeydew向April道歉。
[11:00.39] 「请不要生气,女主人(Mistress)。我们马上就走。」
[11:05.48] 「喂你看,多么漂亮的茶具!」
[11:11.40] Honeydew苦恼和叹息同伴的不拘礼仪,Juniper则任性说口渴了。
[11:20.77] Juniper喝了好几杯红茶,又把房间弄得乱七八糟,Honeydew不情愿地收拾被她弄乱的房间。
[11:28.82] April则是什么都没有做。
[11:36.20] 江湖医生造访。
[11:39.35] 她随波逐流的被检查,头发、血肉、指甲、皮肤,总之采集了她所有的身体部份,最后被如此吩咐。
[11:53.18] 「妳是病人。马上入院比较好。在今天也没所谓」
[11:58.86] 江湖医生边在病历簿上书写边呼喊「简直是活着的标本」。
[12:08.37] 我到处都没有患病。因为我是魔女。
[12:13.98] 「那样这就是妳的病名了。妳是魔女病。即使肉体看似健康,心也在患病。在如此昏暗、空气不流通的房间里闭门不出,虐待着自己。我作为一个医生,有治疗妳拯救妳的义务。」
[12:37.07] 最后江湖医生对艾普莉露打镇静剂,想把她从房间里强拽出去。
[12:46.01] 医生先生,请你现在离开。
[12:51.28] 我不想出到外面。
[12:54.49] 我不想伤害到人们。更不想伤害到我自已。
[13:01.71] 我已经不想让世界碰上自己了。
[13:07.20] 江湖医生连艾普莉露的恳求也没有听取。
[13:14.58] 头发、血肉、指甲、皮肤,总之江湖医生化为所有的身体部份,回到了房间的外面。
[13:26.99] 看不见的狗儿到来。
[13:32.06] 有用爪子搔床发声喘气的气息,却看不见身影。
[13:38.02] 比扫帚草还要蓬乱的毛。也发出眼垢的讨厌气味。
[13:44.93] 估计方向并抱起了狗儿后,它反咬了一口结果逃掉了。
[13:52.32] 没有办法之下艾普莉露留下了狗儿。
[13:58.07] 某个疾雨暴风的夜晚,狗儿惴惴不安向门外不停吠叫。虽然不知道是何人,但是有谁在门外。
[14:12.07] 说起来在四月一日以外,应该谁也无法接近房间的。至少那是活人的话。
[14:23.89] 再来某个大雪纷飞的夜晚,在暖炉旁边伸腿伏卧的狗儿跳了起来,向门扉声如火焚地吠叫。
[14:34.11] 某人只留下微弱的踏雪声而离开了。
[14:41.52] ――然后正好经过了一年的,一次拂晓。
[14:48.38] 咯嚓、咯嚓,响起了拐杖先端敲打玄关石头的声音。
[14:54.76] 狗儿隐约地现出身影,沉静地站在门前。
[15:02.62] 艾普莉露向狗儿问道。
[15:06.96] 能原谅你心爱的人吗?
[15:12.27] 狗儿轻轻鸣叫把鼻尖压在门上。
[15:20.43] 她稍稍的打开门扉,貌似有点遗憾地目送狗儿。
[15:28.71] 魔女艾普莉露和使魔一起生活过的,唯一一次例外。
[15:39.22] 滞销的画家到来。
[15:42.57] 画家揪着头发,歇斯底里地叫唤。
[15:47.46] 「我想画谁都没有看过的画。人们会动心的、畏惧的、终生残留于记忆里的宏大的画」
[15:58.12] 谁都没有看过的画。艾普莉露也对他所志愿的画一窍不通。
[16:07.92] 于是询问道。要为那幅画上色,需要怎样的画笔?
[16:16.47] 「需要稀有的画笔! 如钢铁般坚挺不移,像烈火般柔软。笔尖包含着真实的颜料」
[16:28.24] 要有多大的画布(Canvas)才足够呢?
[16:35.17] 「广阔的! 不如说并非仅仅是广阔。那是用信念和代价编织而成的。在闪电般的笔尖闪烁飘扬时会扩张至海洋的尽头!」
[16:49.64] 进行了如此热烈演讲的画家突然怯弱起来,狼狈不堪地搂住艾普莉露的膝部。
[17:01.02] 「请愿谅我。请惩罚我。这种东西不可能会有。是夸大妄想的胡说八道。甚至不??应该去奢望」
[17:13.06] 艾普莉露边安慰他边说道。
[17:20.35] 即使无法实现,这世上有不可祈求的愿望吗?
[17:27.86] 画家泪眼汪汪地点头,彬彬有礼地在她手掌上留下亲吻离开了。
[17:38.28] 就等我花尽毕生来画出我理想中的画――如此说着。
[17:48.70] 吸血姬梅
[May]到来后停下了红色的翅膀。
[17:54.91] 「同类呢」梅说道。她也是身怀不死命运的异端女孩。
[18:03.25] 为院子点缀色彩的花栽、喜欢的茶,两人以无谓的闲谈渡过了一天。
[18:14.27] 「对妳施下诅咒的神明也总有一天会灭亡吧」
[18:21.55] 最后梅留下这样的话语飞走了。
[18:29.87] 读者到来。
[18:33.13] 嗯,是你没错。
[18:35.66] 只有四月一日,魔女艾普莉露房间的锁才会被解开,迎接访客。
[18:44.19] 只是她正好倚靠在长椅上,迷迷糊糊地睡着了。
[18:52.01] 假若你并不急赶的话,要不要暂且等待一下直至她醒来呢?
[19:00.12] 其间,来玩一个游戏吧。
[19:06.50] 从她的瞌睡当中满溢而出的梦,飘渺地触摸你的面颊。
[19:13.74] 那是怎么样的印象呢?请从下面的词语当中选出想到的事物。
[19:22.84] 【软木 洗衣板 巴萨米克醋 割麦 女王 死神】
[19:34.06] 然后请选出感觉与这个词语有密切关联的词语。
[19:42.22] 【肥皂 钓鱼 葡萄酒 山中小道 镰刀 五朔节花柱 蜜蜂】
[19:52.27] 请从下面当中看破这事物所显示出的活动和本质。
[20:00.49] 【奔跑 刺 告诉 摇晃 散发香气 歌颂】
[20:09.83] 那么最后请选出正确应用到这个活动的词语。
[20:17.40] 【炼金术师 水车小屋 蔷薇 瓜德利尔舞 带篷马车 人偶剧】
[20:27.49] 已经选了吗?让我猜一猜看看。
[20:33.92] 「人偶剧」对吧。
[20:39.30] ……失礼了。似乎让你失??望了。
[20:44.33] 啊呀瞧,艾普莉露醒来了。
[20:48.19] 她温柔地又似乎有点儿寂寞地注视你的眼瞳,等待着你说话。
[20:57.25] 假如你的愿望能成为确切的言语,那大概都已经实现了。即使当前的是谎话。
[21:10.36] 比起实现真正的愿望,找到真正的愿望更为困难。
[21:19.83] 艾普莉露微笑。
[21:23.41] 不知不觉间她的手掌握着了一朵蔷薇。
[21:31.24] 然后有段很长时间一直一直,谁都没有来到房间了。
[21:39.94] 很多年 很多年
[21:48.58] 胡鲁到来。
[21:51.69] 「你好,我是胡鲁。妳就是艾普莉露吧?」
[21:57.93] 请让我实现你的愿望――
[22:02.05] 胡鲁温和地打断了如此说道的她。
[22:07.96] 「妳一句话也不用说就可以」
[22:12.84] 说完,胡鲁整天只是在房间里闲呆着然后,
[22:18.57] 「我希望再来这儿」
[22:21.83] 如此告之,就回归到世界去了。
[22:28.37] 翌年胡鲁也来了。
[22:32.31] 再下一年,又再下一年也来了。
[22:34.66] 某年胡鲁带了机器结构的乐器来。
[22:45.88] 和着乐器的演奏,胡鲁和艾普莉露翩翩起舞。
[22:51.24] 虽然胡鲁的舞技烂得难以置信,
[22:54.79] 但艾普莉露三番五次央求他作为舞伴,直至一天终结。
[23:03.97] 某年两人搭伴去院子散步。
[23:09.80] 绕行一周也不需花上一分钟,小小的庭园。
[23:15.38] 胡鲁熟知该处的花栽。
[23:20.86] 他非常爱好植物
[23:23.64] 艾普莉露仅仅是聆听着他讲述形形色色的花栽就乐乐陶陶。
[23:33.32] 某年艾普莉露以亲手做的菜款待胡鲁。
[23:39.25] 并非用魔法创造的,是用她亲自从种子培育出来的食材做成的素朴菜肴。
[23:46.62] 虽然他因为吃不惯的味道而摆出了不可思议的表情,却好几遍伸出木碗来再添一碗。
[24:01.98] 年老的胡鲁到来。
[24:07.06] 「接下来说的是谎话」
[24:11.63] 说出这样的前言后,胡鲁谈述。
[24:16.93] 世界早就灭亡了,胡鲁是这颗星球上最后的人类。
[24:24.60] 任何历法都已经无意义了,撒谎的对象也会马上消失。
[24:32.67] 因为我的坟墓打算建在这附近,有意的话请来下吧。说完胡鲁就离开了。
[24:45.18] 下一年,胡鲁没有来了。
[24:52.32] 翌日早上――
[24:54.56] 出到房间外面的艾普莉露,为看到人们平安地生活的光景而惊讶。
[25:02.74] 人们都变成长生不死,谁都拥有自由实现自己愿望的力量。
[25:12.38] 拜访细小墓地的艾普莉露,在那儿发现胡鲁的坟墓。
[25:19.75] 他是这颗星球上最后的死者。
[25:25.32] 献上他曾经说过喜欢的花朵后,艾普莉露跪了在墓碑前。
[25:34.39] 「啊啊神明。我曾经是魔女。但现在不同了」
[25:44.50] 我是艾普莉露。你是胡鲁。
[25:52.12] 魔女艾普莉露死了。
[25:56.20]