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星の王子さま |
| [00:04.05] |
原作:アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ |
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王子さま:保志総一朗 |
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パイロット:諏訪部順一 |
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六歳の時僕は、 |
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体験談という |
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原生林について書かれた本で |
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素晴らしい挿絵を見たことがある。 |
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それは、 |
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大蛇のボアが猛獣を飲み込もうとしている絵だった。 |
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本にはこんな説明があった。 |
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ボアは獲物を噛まずに丸ごと飲み込みます。 |
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すると動けなくなるので、 |
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獲物を消化する半年もの間、ずっと眠って過ごします。 |
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僕はジャングルでの冒険についていろいろと考え、 |
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自分でも色鉛筆を使って、 |
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生まれて初めての絵を描き上げた。 |
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その傑作を大人たちに見せ、怖いかどうか聞いてみた。 |
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すると、こんな答えが返ってきた。 |
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どうして帽子が怖いんだい? |
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帽子の絵なんかじゃなかった。 |
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ゾウを消化しているボアを描いたのだ。 |
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でも、大人にはわからないらしいので、 |
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今度はボアの内側の絵を描いてみた。 |
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大人には何時だって説明が必要なのだ。 |
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僕の二番目の絵では、 |
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ちゃんとボアの中にいるゾウが見えていた。 |
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しかし大人たちは中が見えようが見えまいが、 |
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ボアの絵は片付けて、 |
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地理や歴史、算数や文法の勉強をしなさいと、僕を窘めた。 |
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こうして、6歳にして僕は偉大な画家になるという夢を諦めた。 |
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作品第一号と第二号が共に不評で、 |
| [02:16.50] |
気持ちが挫けてしまったのだ。 |
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大人というのは、自分たちとは全く何もわかっていないから、 |
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いつも子供の方から説明してあげなきゃいけなくて、うんざりする。 |
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僕は別の仕事を選ぶ必要に迫られて、 |
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飛行機の操縦士になった。 |
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そして、世界中をあちこち飛び回った。 |
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地理は確かに役に立った。 |
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僕は一目で中国とアリゾナを見分けることができる。 |
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夜間飛行で迷った時など、そういう知識があると本当に助かる。 |
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これまでの人生で、僕はたくさんの重要人物と知り合った。 |
| [03:04.98] |
随分多くの大人たちと一緒に暮らしたし、 |
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マジカにも見てきた。 |
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それでも僕の考えは、あまり変わらなかった。 |
| [03:17.65] |
僕は物分りのよさそうな人に出会った時には必ず、 |
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肌身離さず持ち歩いていた作品第一号を見せ、実験していた。 |
| [03:29.68] |
その人が本当に物事の分かる人かどうか、知りたかったから。 |
| [03:36.59] |
でも、答えはいつも同じだった。 帽子だね。 |
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その後僕は、ボアの話も、原生林の話も、星の話もしなかった。 |
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話を合わせて、ブリッジやゴルフや、政治やネクタイの話をした。 |
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するとその大人は話が分かる相手と知り合えたと言って喜ぶのだ。 |