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喉が渇いたな。。 |
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病みあがりの散歩に少し疲労感を覚えた。 |
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部屋に戻ってからのぼくは、喉を潤すためコップを手に取った。 |
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コップは二つあった。 |
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別れた彼女がお揃いで買ってきてくれたガラスのお洒落なコップだった。 |
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その一つに冷蔵庫から取り出した水をボーとしながら注いでいたら、うっかり溢れてしまった。 |
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慌ててコップを掴むと手が滑り、今度はゆかに落ちて、 |
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かしゃんと音を立てて、割れてしまった。 |
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あっ! |
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ぼくは呆然と割れたコップを見つめた。 |
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ゆかには水が広がっている。 |
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戸棚にあるもう一つのコップに目をやると、 |
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なんだかやるせない気持ちでいっぱいになった。 |
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一つ残された空のコップが、悲しそうに、 |
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割れたコップを見つめているように思えて仕方なかった。 |
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ふと、老人の言葉を思い起こした。 |
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無理をしてはいけない。 |
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コップに注いだ水はぼくの愛、注ぎすぎた愛が溢れ、受け手のコップが壊れてしまった。 |
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こじつけのような気持ちだが、今のぼくには十分納得できる光景だった。 |
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そうだ。。 |
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今までぼくは愛そうと一生懸命努力することが、恋愛の形だと思いこんでいた。 |
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実はそうじゃなかった。 |
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本音は、もっと愛されたかったんじゃないのか。 |
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それを素直に出すことの方が大切だったとは言えないか。 |
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傷つき、傷つけ合って、もう誰も愛せないと考えることは間違いだ。 |
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たとえ傷つけあうことになろうとも、愛されたいと思う気持ちが相手を慈しみ、 |
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それが帰ってくることになる。 |
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それが、お互いを必要としていく家庭に繋がっていく。 |
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お互いを必要としているからこそ愛するし、愛される。 |
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そしてその愛は無理せずゆっくりと、本当の意味の家族へと形を変えていく。 |
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だからこそ、愛は永遠に続く。 |
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妙に納得している自分がいた。 |
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この考え方が正しいとは限らない。 |
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でも、ぼくはあの老夫婦のような人生を歩んでいきたい。 |
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無理せず、ゆっくりと自然に、そして、あるがままに。 |
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あるがままというのは、本当の自分の気持ちだと思う。 |
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あるがままの自分を受け入れる。 |
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そしてもっと素直になる。 |
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それが今のぼくにとって、もっとも必要なことなのかもしれない。 |