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輝一から輝二へ |
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デジタルワールドに行く前はこんな人ごみの中を歩いていると |
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ふと孤独を感じることがあった。 |
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友達と笑っている時も 無性に寂しくなることがあった。 |
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どうしてなのか?ずっとわからなかったけど。 |
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今はなんとなくわかる気がす |
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輝二、多分お前と会えなかったからだと思う。 |
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(電車のドアが開く音、歩く音、ドアが閉まる音) |
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輝二。今日は俺たちの誕生日だな。 |
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今までも自分の誕生日って嬉しいものだったけど、今はもっと嬉しいって思う。 |
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俺とお前二人の誕生日。 |
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誕生日に会えないかって言ったら |
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すぐにオーケーしてくれて嬉しかった。 |
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ここしばらく、お前とは会ってなかったから |
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今日は本当に楽しみだ。 |
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俺に双子の兄弟がいるということを教えてくれたのは、おばあちゃんなんだ。 |
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こうじ、お前の名前を初めて聞いた時本当に驚いた。 |
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普通だったら信じないよな。そんな冗談みたいな話 |
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一人っ子って思ってた自分に兄弟がいるなんて |
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でも、不思議だけどすぐに信じることができたんだ。 |
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同じ日に一緒に生まれた兄弟が |
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お前がいるってこと |
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会いたい。 |
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すぐにそう思った。会いたくて。いても立ってもいられなかった。 |
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だからお前を追いかけたんだ。 |
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ダスクモンになっていた時のことを考えると、今でも苦しくなる。 |
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お前や拓也たちを傷つけていたなんて。 |
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思い出して辛くなる時もあるけど、 |
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でも輝二が笑っている顔を見るとほっとするよ。 |
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お前が俺を見つけてくれて助けてくれたんだよな。 |
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入院中、病院の先生や看護婦さんによく言われた。俺が助かったのは奇跡だって。 |
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お前が拓也たちがベッドにいた俺に呼びかけてくれて。それで目覚めることができたんだって。 |
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声ちゃんと聞こえた。 |
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お前が呼んでくれたから俺は助かったんだと思う。 |
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なんか俺ってお前に助けられてばかりだな。 |
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あれからお前とは毎日電話で話してるけど、辛いことがあっても |
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お前の声を聞くと元気になるんだ。 |
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こんなこと。恥ずかしくて面と向かっては言えないけど。 |
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お前とこんな風に話せるようになったこと 奇跡だと思う。本当に。 |
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輝二、今日はお前に謝らなきゃならないことがあるんだ。 |
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誕生日プレゼント用意できなかった。 |
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忘れてたわけじゃない。絶対に |
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笑われるかもしれないけど、誕生日の1ヶ月も前から毎日悩んでいた。 |
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何をあげたらお前は喜んでくれるだろうかって、そればっかり考えて。 |
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俺…こんなに悩んだの生まれて初めてかもしれない。 |
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悩みながら少し落ち込んだんだ |
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だって。何をあげたらお前が喜ぶかわからない。自分に気がついたんだ。 |
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普通兄弟だったら好きなものとか、欲しいものとか、なんとなくわかると思うんだ。 |
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兄弟なのに…俺はまだお前のことをよく知らないんだって思った。 |
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そんなことを考えていたらプレゼント。結局用意できなかった。 |
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輝二は優しいから、どんなものでも喜んでくれるとは思ったんだけど |
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その代わりにってわけじゃないんだけど、ケーキを持ってきた 。母さんに作ってもらったんだ。 |
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俺とお前の名前をデコレーションしてある。これにろうそくを立てて、一緒に火を吹き消して。 |
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誕生日ケーキなんてありきたりだけど |
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そういうありきたりのことをやって誕生日をお前と祝いたい。そう思ったから。 |
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それから今日お前に言おうと思ってることがあるんだ。 |
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俺たちずっと電話で毎日話してるだろ。 |
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もちろんそれでも楽しいし。 |
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お互いの家が離れてるから仕方ないんだけど。 |
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でも…やっぱり会いたいんだ。 |
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電車を乗り継いで行かなきゃならないから電車賃も馬鹿にならないけど。 |
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電話だけじゃ物足りない。 |
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だから母さんに頼んだんだ。 |
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俺の誕生日プレゼント欲しかったサッカーボールを買ってくれる約束だったけど。 |
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それはいらないから少しお金が欲しいって。 |
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それを電車賃にして。輝二に会いに行きたいって。 |
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俺が入院していた時お前がお見舞いに来てくれたみたいに。 |
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今度は俺がお前に会いに行きたい |
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会って何をしたいってわけじゃないんだけど。 |
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お前の顔を見ながらとりとめのない話をしたり、笑ったりしたい。 |
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俺、もっとお前のことが知りたいんだ。 |
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そう言ったらお前はどんな顔をするだろうか? |
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(電車が止まる音)(ドアが開く音)(歩く音) |
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もうすぐ待ち合わせ場所だ。 |
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輝二お前に会ったらまずなんて言おうか。 |
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誕生日おめでとう。 |
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これじゃありきたりすぎるな。 |
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何かもっと…あそうだ。こう言おう。 |
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ありがとう、輝二。一緒に生まれてきてくれて。 |