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輝二から輝一へ |
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デジタルワールドに行く前はよく思った |
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世の中には大勢の人がいるけど |
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所詮はみんな他人,結局は一人で生きていかなきゃならない。 |
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だから俺はいつも一人でいたんだ。 |
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でも今はもう一人じゃない。 |
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(ベルの音) |
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(電車のドアが閉まる音) |
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こういち、今日は俺たちの誕生日だな。 |
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俺たちが出会って最初の誕生日。 |
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今まで自分の誕生日って誰かに祝ってもらうばかりだったけど、今日は違う。 |
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お前と一緒にお互いを祝う。 |
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なんか妙な感じがするな。でも楽しみだ。 |
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デジタルワールドに行った時、拓也と友樹が時々兄弟のことを話してた。 |
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拓也はいつも弟が可愛いって。 |
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友樹は兄と喧嘩した時のことをぼやいてた。 |
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そういう話を聞いた後、一人っ子の純平と泉は兄弟がいるのが羨ましいって言ってた。 |
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俺もそう思わないこともなかったけど、別に何も言わなかった。 |
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だって兄弟なんて欲しがったってできるもんじゃないだろ。 |
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でもお前が現れた。輝一。 |
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俺の双子の兄弟だというお前が。あんなに驚いたことはなかったな。 |
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驚いたけどすぐに信じることができたお前が俺の兄弟だってこと。すごく嬉しかった。 |
| [01:58.540] |
こんなことを面と向かってはとても言えないけど、本当に嬉しかった。 |
| [02:07.250] |
でもお前と出会って、しばらくの間は自分が少し嫌だった。 |
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お前と話したくてたまらないのに、全然うまく話ができなかったから。 |
| [02:17.760] |
何か話さなきゃって思えば思うほど、何をしゃべったらいいのかわからなくなって。 |
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あの時は俺も拓也たちみたいに喋れたらいいのにって心の底から思ったよ。 |
| [02:32.010] |
今はもう笑って言える話だけどな。 |
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そう。今は電話でお前と話すことが日課になったから。 |
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最近じゃ何か面白いことがあるたびにすぐにお前に話そうと思うようになった。 |
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そんな風に考える 自分が少しおかしいよ。でも悪い感じじゃないな。 |
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電話ではいつも話せるけど、最近それだけじゃ物足りないって思うことがある。 |
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家がもっと近かったら良かったのにな。そうしたらもっとたくさん会えるのに。 |
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この前 テレビのバラエティ番組で双子の兄弟が出ているのを見た。お前は見たか? |
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その双子は司会者の質問に全く同じように答えていた。 |
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目隠しされても別々の場所にいても、双子はお互いの考えていることがなんとなく分かるって言うんだ。 |
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どうやら双子にはテレパシーみたいなものがあるらしい。 |
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俺たちにもそういうものがあるのかな |
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あったらいいのにな。 |
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最近思うんだお前のこともっとわかったらいいのにって。 |
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お前への誕生日プレゼント 何にしようか?すごく悩んだ。 |
| [03:58.520] |
何をあげたらお前は喜んでくれるんだろうかって? |
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考えて考えすぎて。頭が痛くなったくらいだ。 |
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こんな時 テレビの双子みたいにお互いのことが分かったら |
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お前の欲しいものなんてすぐにわかるんだろうけど。でも… |
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プレゼント…結局何も用意できなかったんだ。 |
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どんなものでもお前なら喜んでくれるかでも思ったんだけど |
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適当なものは渡したくなかったし |
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代わりと言ったらなんだけど、りんごのパイを持ってきた。俺の母さんが作ってくれた パイだ。 |
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母さんのパイは最高に美味しいから、きっとお前も気に入ってくれると思う。 |
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母さんとはうまくやってるよ。ずっと母さんって呼べなかったけど。今はちゃんと呼べるようになったから心配いらない。 |
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お前の母さんの調子はどうなんだろう?仕事を大変だって聞いたけど大丈夫かな? |
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お前がすごく心配そうにしてたから、俺も気になるよ。 |
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お前やお前の母さんのために何かしてあげられたらいいんだけど。 |
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こんな時自分が小学生なのが嫌になる。 |
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大人だったらきっと力になってやれるのに。早く大人になりたいな。本当に |
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なあ輝一。お前は大人になったら何になりたいんだ。 |
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俺、今日はお前に将来の夢のことを話そうと思ってる。 |
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俺の夢は世界一周すること。 |
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デジタルワールドへ行く前将来の夢って作文に一人で世界一周する事って書いた。 |
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でも今は…一人でっていうのはやめたんだ。 |
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もちろん一人でも旅はできると思う。 |
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でも、二人だったらもっと楽しいんじゃないかって思った。 |
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二人でいろんなものを見て笑ったりくだらない話をしたりしながら世界を回る。 |
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輝一、一緒に行こうって言ったら、お前はどんな顔するだろうか? |
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(電車が止まる音)(ドアが開く音)(歩く音) |
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輝一、もうすぐお前と会える。 |
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あったらばまず何て言おう。 |
| [06:38.540] |
誕生日おめでとう。 |
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それじゃあ何か味気ないな。 |
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あそうだ、こう言おう。 |
| [06:49.730] |
ありがとう、輝一。一緒に生まれてきてくれて。 |