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谷の底には大きな工場があって、 |
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木を切る音が、ビィンビィン、としていました。 |
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小鳥は工場の門の上に止まって、 |
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「門さん、私の仲良しの木は、どうなったか知りませんか。」 |
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と聞きました。 |
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門は、 |
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「木なら、工場の中で細かく切り刻まれて、 |
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マッチになってあっちの村へ売られていったよ。」 |
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といいました。 |
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小鳥は村のほうへ飛んでいきました。 |
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ランプの側に女の子がいました。 |
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そこで小鳥は、 |
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「もしもし、マッチをご存知ありませんか。」と聞きました。 |
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すると女の子は、 |
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「マッチは燃えてしまいました。 |
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けれどマッチのともした火が、 |
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まだこのランプにともっています。」といいました。 |
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小鳥は、ランプの火をじっと見つめておりました。 |
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それから、去年の歌を歌って木に聞かせてやりました。 |
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火はゆらゆらと揺らめいて、 |
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心から喜んでいるようにみえました。 |
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歌を歌ってしまうと |
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小鳥はまたじっとランプの火を見ていました。 |
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それから、どこかへ飛んでいってしまいました。 |