[00:00.96] |
偶然の重なり |
[00:03.04] |
肩を叩かれて、俺は顔を上げた。いつの間にか、彼女の隣で眠っていたらしい。 |
[00:11.86] |
「ん?ああ~起きたのか?ごめん。寝てた。」 |
[00:19.58] |
「何で謝るんだよ。倒れたことなんか俺は別に気にしてない。それより、もう熱は大丈夫なのか?」 |
[00:29.90] |
「んん、おでこもさっきより熱くはない。顔色もよさそうだな。じゃ、具合がよくなったところでそろそろ帰るか。」 |
[00:47.79] |
鞄を取ろうと俺が立ち上がった瞬間、制服の胸ポケットから、椿のプローチが落ちた。 |
[00:56.50] |
「おっと、危ない!は~よかった。割れてなさそうだな。どうした?帰るんだろう。」 |
[01:07.44] |
彼女は驚いた表情で俺の手の中にある椿のプローチを指差した。 |
[01:14.38] |
「これ?ああ~小さい頃拾ったんだ。俺のお守りみたいなものだ。初恋の女の子が忘れていたみたいで...うんん、いや、なんでもない。」 |
[01:31.52] |
「え?これ……自分のかもしれない?!」 |
[01:40.23] |
---恋は今は あらじとわれは 思へるを 何処の恋そ つかみかかれる--- |
[01:49.58] |
もう何も心に留めない。そう思ってたのに。偶然の重なりは私に掴みかかる。 |
[01:59.32] |
二人で保健室を出た後も、彼女は何かを思い出すように、ずっと黙り込んでいた。 |